窓のプランニングと選び方が重要【注文住宅の基礎知識】
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快適で健康的な住まいをつくるには、開口部・窓のプランニングがとても重要です。ここでは、機能的な窓の配置法や断熱窓や、防犯対策などを解説しています。新居の間取りづくり・プランニングの参考にしてください。
風の入り口と出口を考えて、最適なレイアウトを!!
最近ではシステム換気や全館空調システムなどの、強制的に建物全体の換気が行える装置が普及してきました。しかし、明るく、風通しのよいことは、住む人にとっても建物にとっても健康的なことです。風通しをよくするには、風の入り囗と出口になる位置に窓を設け、家の中に空気の流れができるようにすることがとても重要です。大きな窓があっても袋小路では風が抜けないため、向かい合った壁に窓を設けるのが理想的です。風の入り口と出口を考えて配置することが大切です。風上と風下に窓があれば、小さなサイズでも風が気持ちよく抜けていきます。
さわやかな気持ちの良い風を家じゅうにとり込むには、東西南北全方位にバランスよく窓を配置し、室内ドアも風通しを考えてプランニングしたいものです。ただし、西側に大きな窓があると、夏の夕方は強烈な西日が部屋にさし込み、部屋の温度が上昇するので注意が必要です。西側の窓はあまり大きくとらず、ひさしやブラインドなどで直射日光を遮りながら通風できるように設計しましょう。一方の壁が廊下や吹き抜けに面した部屋は、室内窓を設けると風通しがよくなります。
湿気を含んだ空気がよどみがちなのが、水回りのコーナー部分です。吹き抜けの上部も熱せられた空気がたまりやすい場所です。洗面室などのコーナーには細長いルーバー窓などをつければ、風通しがグンとアップします。吹き抜けには、FIX窓だけでなく、下から開閉操作ができるルーバー窓やオーニング窓を設置するといいでしょう。大きなFIX窓やFIXのコーナー窓は、両側に開閉式の窓をつけると風通しがよくなり、外側のガラスふきがしやすくなります。
光をうまく取り入れるには窓の高さがポイント!!
当然ですが、窓が大きいほど採光量はふえますが、それだけ壁量が少なくなり、建物の強度が低下したり、プライバシーの問題なども出てきます。窓は、建物の強度や立地条件を考慮してバランスよく配置することがとても大切です。敷地にゆとりのない場合は、隣家の窓と位置をずらしたり、ハイサイドライト、天窓などを設けるなどの工夫により、お互いの視線が家の中まで届かず、プライバシーが保てます。住宅密集地で横からの採光が十分望めない場合は、家の中心にトップライトを設けた吹き抜けをつくったり、中庭を設けて家のすみずみにまで光と風をとり込む方法もあるので、プランニングの際には検討してみましょう。
窓は、壁の上部にあるほど採光量が多くなります。また、同じ面積の窓なら、縦長のはうが横長より部屋の奥まで光がさし込みます。トップライトは、一般的な窓ハサイドライトの約3倍の明るさがあると言われています。窓の形やとりつける位置による採光の違いをよく理解して窓をプランニングしましょう。
窓の種類
家づくりにおいて、窓周りの設備は重要なポイントの一つです。窓の材質や性能は、家の耐久性や光熱費に大きな影響を与えます。ここでは、窓の主な材質とその特徴について詳しく説明します。
1. アルミサッシ
- 長持ちするが、光熱費がかかる。
- 耐久性が高いが、断熱性に課題がある。
- 耐候性が非常に高い材質で、長寿命です。アルミサッシの劣化を見たことはほとんどありません。
- 錆びにくく、耐久性が優れています。
- しかし、熱を伝導しやすいため、光熱費が高くなることがあります。
2. アルミ樹脂複合サッシ
- アルミと樹脂の特性を組み合わせたサッシ。
- 耐久性と断熱性を両立させる選択肢。
- アルミと樹脂の組み合わせで、耐候性が高く、室内側は樹脂で熱の抑えがききます。
- 光熱費を節約できるが、熱伝導率は高め。
3. 樹脂サッシ
- 光熱費を抑えつつ、快適な室内環境を提供。
- 耐候性に注意が必要。
- 各サッシにはメリットとデメリットがあり、用途や予算に応じて選ぶ必要があります。
- 耐久性はあるが、熱伝導率が高いため、光熱費がかかることがある。
- プラスチック製なので、劣化や色あせのリスクがあるが、塩ビやアクリル塗装などで対策可能。
トリプルサッシの特徴
ガラスが3つ重なっており、熱損失を減少させる効果があります。防犯性が向上し、断熱性が高く、結露リスクが低い。
デメリット
- 重くなり、ガラスの数が多いため、取り扱いが難しい。
- 防犯性を高めるためには、別途防犯合わせガラスを使用する必要がある。
新築時の窓設備と対策
- 新築時に窓を選ぶ際、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 外皮性能を向上させ、断熱性を高める。
- 窓性能を選び、熱の逃げにくい窓を選ぶ。
- 光熱費を節約し、耐久性を高めるために、窓とひさしをセットで考える。
- アルミサッシは耐久性が高いが、光熱費がかかる。アルミ樹脂複合サッシはバランスが取れた選択。
- 樹脂サッシの場合、塩ビやアクリル塗装で色あせや劣化に対策することができる。
- トリプルサッシは高い断熱性と防犯性を持つが、重く取り扱いが難しい。
窓の設備と性能を選ぶ際には、地域の気候条件や予算、快適な生活を考慮し、最適な選択をすることが大切です。窓は一度設置したら簡単に交換できないため、慎重に検討することが家づくりの成功につながります。
サッシの選び方
1. 断熱性
寒冷地域では断熱性が重要です。内窓を取り付けたり、断熱材を追加したりすることで、窓の断熱性を向上させることができます。
2. 防犯性
セキュリティを重視する場合、耐久性の高いガラスやロック機能の強化が必要です。特に一階の窓は注意が必要です。
3. 日差しのコントロール
夏季に日差しを遮るための方法も考えましょう。ブラインドやシェードなどを活用して、室内の温度上昇を防げます。
4. 耐候性
特に海岸地域など、厳しい環境にさらされる場合は、耐候性の高い材料を選びましょう。
窓とサッシの選び方は、快適な生活に直結する重要な決定です。光熱費の削減や防犯対策、快適な室内環境づくりを考える際に、窓とサッシを適切に選ぶことが大切です。窓は単なる外観の要素だけでなく、暮らしの質を向上させる要素でもあるため、慎重に選びましょう。
窓は配置位置が非常に重要!!
●ハイサイドライト
天井近くの高い位置につける窓、高い位置に配する窓です。通常の窓(サイドライト)ではプライバシーが保つことが難しい密集地などの採光や通風に適しています。壁や天井に反射させて光をとり入れるため、やわらかく、安定した光が得られます。
●ローサイドライト
床面近くにつける窓です。直射日光が入らないので、熱を遮りながら、ソフトな光と風がとり込めます。道路沿いの玄関などに設置すれば、外からの視線を遮りながら。光と風が確保できます。目線の低い和室や坪庭の横にも最適です。
●トップライト
天井につける窓です。同じ面積ではサイドライトの約3倍の照度が得ることが可能です。北側の階段や玄関など暗くなりがちな場所に最適です。設置場所により、開閉できるタイプを選んだり、日ざしを遮るブラインドなどをつけるとよいでしょう。
注文住宅で窓の位置を決める際のポイントをご紹介します!
注文住宅をお考えの方で、間取りの考え方が分からないという方はいらっしゃいませんか。今回は、間取りの中でも窓についてお話ししていきたいと思います。窓は種類も多く、配置する場所によって見え方が異なるのですが、間取りを考える際に見落としがちな部分でもあります。そこで、窓の位置を決めるポイントをご紹介します。
窓の位置による失敗
まず挙げられる失敗として、1つの部屋に窓の数が多く、家具の置き場所がないということがあります。家具は窓際に設置することが多いため、窓が多いと配置が難しくなります。窓が隠れるように家具を置いたとしても、お掃除がしにくく埃もたまるため、あまりおすすめできません。
また、窓の数が多いと屋外の温度の影響を受けやすくなり、夏は暑く、冬は寒くなってしまいます。このように、開放感を得るために多くの窓を設置してしまうと、思わぬデメリットがあるため、注意してください。
他には、窓を設置しても十分な明るさを得られず、意味のない窓になってしまうこともあります。窓の位置や方位によって、日当たりの良さは変わりますし、隣地との距離や外壁の色でも、窓から入る光の量は違います。室内の広さや内装の色によっても、明るさの感じ方は変わってくるので、そのあたりを考慮に入れながら、窓の位置を考える必要があります。
窓の位置を決めるポイント
窓の位置を決める際には、まず自宅の周辺環境を調べておきましょう。
窓の位置によっては外の道路から室内が丸見えになることや、隣家と窓の位置がかぶってお互いのプライバシーを侵害する可能性もあります。自宅のプライバシーを守るためにも、周辺環境に合わせた間取りの設計を行いましょう。
また、窓の位置は窓の種類やサイズ感に合わせて決めていくのが良いでしょう。例えば、掃き出し窓と呼ばれる、人が出入りできるほどの大きさの窓であれば、サイズが大きい分セキュリティ面に注意する必要があります。さらに、引違い窓や外開きの窓を配置する場合は、目線の高さに合わせることが大切です。加えて、目線の高さだけでなく、視線の先に景色が見えるかどうか、風通しがよくなる配置かどうか確認しながら位置を決められると、明るく快適な環境が作れるでしょう。
窓こそ断熱が重要
室内の熱が、屋外に逃げてしまうことを「熱損失」といいます。断熱材を良くしたからといって、家全体の断熱性能が良くなっていると思ってはいけません。それはただの勘違いです。熱は、断熱材が施工されている部分(壁)だけでなく、他のところからも逃げているからです。
熱損失が起こっている部位は、
①窓・ドア/30~50%
②外壁/20~25%
③換気によるもの/15~30%
④床/5~15%
⑤天井/4~6%
です。断熱材をいくら良いものにしても、それは外壁の断熱を高めているにしかすぎません。本当は、窓にこそ、断熱をしなければならないのです。窓の断熱性能を高めるためには、いくつかの方法があります。①から順に性能が上がるとともに、コストもかかります。
①窓を2重にする。(インナーサッシのこと)
②ペアガラスを止め、トリプルガラスにする。
③アルミサッシをやめ、樹脂サッシにする。
④樹脂サッシを止め、アルミクラッド(木質枠とアルミの組み合わせ)にする。
ガラスを交換するより、窓を2重にする
寒冷地では昔は、窓を2重にしたものです。また、騒音地などのマンションなどでも窓を2重にしています。この手法は、断熱・防音ともに良く、とても効果的です。建売戸建て住宅では、シングルガラスのアルミサッシがよく使われています。しかし、アルミの肉厚が薄いため、ガタつき、隙間だらけです。そういうところにも2重窓はうってつけです。
上記したようにシングルガラスをペアガラスに取り替えるとか、ペアガラスをトリプルガラスに取り替えるのは、かなり高くつきます。また窓自体を、アルミサッシから樹脂サッシや、アルミクラッドに交換することも同様です。窓は、新築時にお金をかけておくほうが無難でしょう。
断熱サッシで冷暖房の効率をアップ!!
従来の窓は、アルミサッシと単板ガラスの組み合わせが一般的でした。しかし、ここ数年寒冷地以外でも急速に普及してきているのが「断熱窓」です。アルミサッシや単板ガラスは熱伝導率が高いため、外気温を伝えやすく、冷暖房の効率が低下します。また、冬は室内のあたたかい空気が、冷たい窓ガラスやサッシの表面で冷やされて、窓に結露が発生しやすくなります。
「断熱窓」とは、熱伝導率の低いサッシに複層ガラスを組み合わせたものです。断熱性能のほか、気密性や遮音性などさまざまな特長を備えています。「断熱窓」は、サッシの素材や構造、組み合わせるガラスにより、いろいろな種類があるので、家を建てる地域に適したタイプを選んでください。それぞれで細かく機能が異なります。高断熱複層ガラスとは、「太陽熱をとり入れながら暖房子不ルギーを外に逃がさない」という目的に適したガラスです。2枚のガラスの間にし、室内側に高断熱タイプのLOW‐Eガラス(特殊な金属膜をコーティングしたガラス)を使用しています。室外からの日射熱をとり入れつつ、室内からの暖房熱を反射するため、特に保温性にすぐれ、寒冷地の窓に最適です。このLOW‐Eガラスを採用するハウスメーカーが非常に多くなっています。
また、住宅金融公庫では、窓や玄関ドアなどの開口部を省エネルギー住宅仕様にすると割増融資が受けられる制度が設けられているので、検討してみましょう。
防犯合わせガラスと窓回りアイテム!!
近年、あき巣ねらいによる被害がふえています。二戸建て住宅では、1、2階とも窓からの侵入が多いようです。窓からの侵入手口のトップはガラス破りで、窓は施錠さえしておけば安心とはいえません。ガラス破りによる侵入方法は。ハンマーやドライバーの先端などで窓ガラスを部分的に突き破り、そこから手を差し込んで主錠のクレセントをはずすというものです。しかし、5分間でガラスが破れなければ、大半の泥棒は侵入をあきらめるといわれています。
そこで、クローズアップされているのが、「防犯合わせガラス」と呼ばれるものです。これは、2枚の板ガラスの間に特殊な中間膜をはさみ込んだ構造で、ガラスを割ることはできても、中間膜が貫通を防ぎます。侵入までの時間を稼いでくれるのです。中間膜の厚さは、通常の合わせガラスの約2倍の0.8m以上あるため、突き破りに強さを発揮します。さらには「防犯合わせガラス」を使用した複層ガラスもあります。ちなみに、網入りガラスは火災時の延焼や類焼を防ぐ機能はありますが、防犯面の効果は期待できません。この点を勘違いされている方が多いのが実情です。
また、シヤッターや面格子も防犯に役立つ優れたアイテムです。掃き出し窓や腰窓用だけでなく、最近では出窓にもシヤッターつきのものが発売されています。人目につきにくい場所の窓は、特にねらわれやすいものです。人が侵入可能な大きさの窓には、面格子をとりっけるといいでしょう。こうした対策を施しても、もちろん100%安心というわけではなく、面格子がとりつけてあっても、人目につかない場所や窓が施錠されていない場合では侵入を試みるというケースもあるので注意が必要です。開口部の防犯は、ガラスやサッシ、錠などの窓回りの対策だけでなく、照明や閉鎖的でない外構設計などトータルに考えることが必要です。
玄関ドアは、防犯性や安全性も考慮して
安心して暮らすためには、防犯性ト安全性の両面から考えて玄関ドアを選びたいものです。防犯といえば、錠がポイントとなります。一般的な玄関ドアは、1回のキー操作で2つの錠が施・解錠できるワンキー・ツーロック方式が採用されています。3ヵ所ロックできる錠を採用しているハウスメーカーもあり、室内側の錠のつまみ部分(サムターン)がとりはずせるユニークなタイプも登場しています。これは、仮にガラスを破られて手を入れられても、つまみがないため解錠できない仕組みになっているのです。このほか、ピッキングに強いシリンダーや、ボタンひとつで施・解錠できるリモコンキー、電気錠なども開発されています。ほとんどのメーカーでは、工事期間中に工事関係者が使用するキーと、受け渡し後に建主が使用するキーを別にする、コントラクションキーを標準で装備されています。住まい手が一度専用キーで施錠すると、工事関係者用のキーは使えなくなる賢いシステムです。
室内ドアの出入り囗の段差を解消したバリアフリー設計の家が多くなっています。高齢の家族がいるお宅や将来に備えたい場合は、玄関ドアもバリアフリー仕様を選ぶのが当たり前になりつつあります。車椅子がスムーズに出入りできる開口幅があるか、錠はキーが差し込みやすい形状かもチェックポイントです。ポーチやたたきのタイルは滑りにくいものを選び、必要に応じて手すりを設置するといいでしょう
プロの窓の選び方!!
窓の選び方には様々な要因が影響しますが、大まかに以下の5つの要素を考慮することが重要です。
1. メーカーで選ぶ
窓のメーカーは性能に影響を与えますが、日本では主要なメーカーとしてLIXIL、YKKAP、3強立山、エクセルなどが存在します。性能的には大きな差はありませんが、LIXILは他の製品との連携特典があるため、一貫性のある住宅を希望する場合に優れています。
2. 使い方で選ぶ
窓の使い方には掃き出し、縦滑り、横滑り、フィックスなどがあります。選択肢の中から、住宅の配置や南側の窓の取り入れ量を考慮して最適なタイプを選びましょう。
3. 機密性で選ぶ
窓の気密性は寒冷地域では特に重要です。遮蔽窓の方が気密性が高く、寒冷地域においては日射取得窓と組み合わせることが効果的です。適正な気密性を保つことが大切です。
4. 性能で選ぶ
窓の性能には枠の材質、ガラスの種類、ガラスの間の加工、金属膜の有無などが影響します。性能を高めるためには、トリプルガラスや遮蔽窓を選ぶことがおすすめです。
5. 金額で選ぶ
窓の性能に応じて価格が異なります。初期投資が高くても、長期的な視点で考えれば高性能な窓を選ぶことが賢明です。窓は住宅を長く使用する要素であるため、長期間の耐久性を考慮しましょう。
性能と金額のバランス
窓の性能と金額のバランスを考える際には、適切な選択が重要です。性能を重視する場合は、トリプルガラスや遮蔽窓を選ぶことが有益ですが、初期コストが高くなることを覚悟しましょう。ただし、窓は住宅の寿命において交換が難しい要素の一つであるため、長期的な視点で性能を重視することは賢明です。