【家具のレイアウトと選び方】 寝室・プライベートルーム
限られたスペースでも、家具の配置や選び方しだいで、ゆったりと快適に暮らせるものです。ここでは、寝室・プライベートルームの家具の配置や選び方の知っておきたい基礎知識や賢い選び方を紹介しています。
収納扉の開閉が無理なくできるスペースを忘れずに!!
寝室では、クローゼットやチェストなどの収納家具が必須アイテムです。ベッドとこれらの間には、扉の開閉や収納した物の出し入れがスムーズにできるように間隔をとることを忘れる方が多いのです。購入の際には慎重に検討しましょう。
開き戸のクローゼットの場合は、扉の前に人が立って開閉するため、ベッドとの間隔は出来れば90m程度必要です。一方、引き戸や折り戸タイプでは、50~60mですみます。寝室が狭い場合は、家具を新たに買ったり、造りっけのクローゼットを設置する際には、引き戸か折り戸タイプにするといいでしょう。設計やプランニングの際には、これらも考慮することが重要です。
チェストの場合は、ドロワーを引き出すスペースと、人がかがむスペースがないと出し入れしづらくなるので、最低80mの間隔をとりたいものです。2人で使う子供部屋にデスクを置く場合は、ベッドとの間隔が120mあれば、1人が椅子にすわっていても、もう1人が後ろを通ることができます。1人部屋なら約80mあれば十分です。
マットレスは、体を支えるかたさが重要!!
昼間の疲れを翌日にもち越さないために、ぐっすり安眠できるベッドを選びたいものです。マットレスは、表面はやわらかく、内部は体を均等に支え、寝返りなどの動きをしっかり受け止める適度なかたさが必要です。やわらかすぎるのはかえって疲れを残すと言われています。腰が当たる部分かやわらかすぎると、腰痛になることもあるので、検討の際には注意しましょう。
マットレスの主要部、スプリングには単独コイル型と連続コイル型の2タイプがあります。単独コイル型の代表例がボンネルスプリングで、鼓状のコイルで、最初はソフトに反発し、圧力がかかるにつれてかたくなる特性があります。連続コイル型の代表例のセットバイスブリンクは、コイルの支持面がZ型となっています。体の動きにキメこまかく対応できるがデメリットです。
狭い寝室では、引き出しがついたベッドが便利ですが、出し入れするときに、ほかの家具がじゃまにならないかどうかを考えて選びましょう。これは意外と忘れがちな盲点です。ナイトテーブルの周囲はホコリがたまりやすいので、キャスターつきか動かしやすい軽量のものが良いでしょう。
ベッドを中心とした基本レイアウトの構築
寝室の家具配置において最も重要なのは、ベッドを中心とした基本レイアウトの構築です。ベッドは寝室の主役となる家具であり、その配置によって部屋全体の機能性と快適性が大きく左右されます。まず部屋の広さと形状を正確に把握し、ベッドサイズを決定することから始めましょう。一般的に、部屋の面積に対してベッドが占める割合は3分の1程度が理想的とされており、6畳の部屋であればシングルベッド、8畳以上であればセミダブルやダブルベッドの配置が可能です。
ベッドの配置位置を決める際は、安全性を最優先に考慮する必要があります。大型家具や照明器具の真下は避け、地震などの災害時にも安全を確保できる場所を選択しましょう。また、エアコンの風が直接当たる位置や、西日が強く差し込む窓際も避けるべきです。風水的な観点では、ベッドの頭部を壁につけ、足元に十分な空間を確保することで、安定感と開放感を両立できます。窓からの自然光を適度に取り入れられる位置に配置すると、朝の目覚めが良くなり、体内時計の調整にも効果的です。
ベッド周辺の動線確保も重要な要素です。ドアからベッドまで、ベッドからクローゼットまでの主要な移動経路には、最低でも60センチメートル程度の通路幅を確保し、夜間でも安全に移動できるよう配慮しましょう。ベッドサイドには、時計や読書灯、スマートフォンなどの必需品を置けるナイトテーブルを配置すると利便性が向上します。このテーブルはベッドの高さに合わせて選び、必要最小限のサイズにとどめることで、動線を妨げることなく機能性を確保できます。
収納家具の効率的な選択と配置
寝室における収納家具の選択と配置は、限られた空間を最大限に活用し、整理整頓された快適な環境を作るために不可欠です。まず既存のクローゼットの容量と使い勝手を詳細に検討し、不足分を補う追加収納を計画しましょう。備え付けのクローゼットがある場合は、内部の棚やハンガーパイプの配置を最適化し、衣類の種類や使用頻度に応じて効率的に収納できるよう工夫します。
追加の収納家具を選ぶ際は、部屋の形状と天井の高さを考慮することが重要です。高さのある収納家具は収納力に優れていますが、圧迫感を与える可能性があるため、部屋の奥側や角に配置し、手前には低めの家具を配置することで視覚的なバランスを保ちます。また、扉の開閉に必要なスペースも事前に計算し、家具同士が干渉しないよう注意深く配置しましょう。引き出し式の収納家具を選ぶ場合は、全開時に必要な奥行きも考慮に入れる必要があります。
多機能収納家具の活用は、限られたスペースを有効活用する優れた方法です。ベッド下収納付きのベッドフレームや、収納機能を備えたベンチ、オットマンなどを選択することで、収納力を高めながら部屋をすっきりと見せることができます。これらの家具は二つの機能を一つにまとめることで、家具の数を減らし、より広々とした空間を実現します。壁面収納を活用する場合は、床から天井まで一体化したシステムを選ぶことで、デッドスペースを最小限に抑え、収納効率を最大化できます。
プライベート空間としての機能性向上
寝室をプライベートルームとして活用するためには、睡眠以外の活動にも対応できる家具配置と環境整備が必要です。デスクワークや読書、趣味の時間を過ごすためのスペースを確保する場合は、睡眠エリアと活動エリアを明確に分けることが重要です。可能であれば、ベッドから直接デスクが見えない位置に配置し、睡眠時の集中を妨げないよう配慮しましょう。デスクは窓際に配置することで自然光を活用でき、作業効率の向上と電気代の節約にもつながります。
照明計画は寝室の機能性を大きく左右する要素です。全体照明として天井に設置するシーリングライトやペンダントライトに加え、用途別の照明を組み合わせることで、時間帯や活動内容に応じた最適な明るさを確保できます。ベッドサイドには読書用のテーブルランプ、デスクには作業用のデスクライト、クローゼット内には衣類選びに便利なLEDライトを設置するなど、それぞれの場所に適した照明を配置しましょう。調光機能付きの照明を選ぶことで、リラックスタイムには暖かみのある柔らかな光、作業時には明るくクリアな光と、シーンに応じて使い分けることができます。
快適性を向上させるためのアクセサリー家具も重要な要素です。スペースに余裕がある場合は、読書やリラックス用の一人掛けソファやアームチェアを配置することで、寝室の居心地が大幅に向上します。窓際に配置すれば、自然光の中でゆったりとした時間を過ごすことができ、日中の寝室利用価値が高まります。また、姿見や化粧台を設置する場合は、自然光が均等に当たる位置を選び、朝の身支度を効率的に行えるよう配慮しましょう。季節の変化に対応できるよう、基本的な家具配置は固定しつつ、カーテンやクッション、ラグなどの小物で雰囲気を変えられる余地を残しておくことで、一年を通じて快適な寝室環境を維持できます。