住宅の安全志向上とインスペクション!!【大震災の影響】
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インスペクション・・・
意味を理解していますか?
大震災で住宅への意識が急速に高まっています!!
2011年の東日本大震災は、日本人の生活や価値観、生き方などに大きな変化をもたらしました。住宅に対する考え方、住まい選びも例外ではありません。
震災前と後で、住宅選びで重視するポイントが大きく変わっています。震災前は何より「価格・費用」が重視され、次いで「間取り」「住宅の広さ」などが続いていました。いわば、一定の予算のなかで、いかにして自分たちに必要な間取りや広さを確保するかが、最大の眼目だったわけです。それが、震災後になると、「耐震性能」が「価格・費用」と並んでトップに急浮上しました。次いで、「耐久性」「立地(災害などに対する安全性)」などが続きます。当然予算面での制約はありながら、そのなかでいかに安全・安心を確保するかが、最大の関心事に変化しているといっていいでしょう。
住宅の安全性向上のため多少のコストアップも容認!!
当然ですが生命はお金に代えられないのです。耐震性能を確保するためには、一定のコストアップは止むを得ないと考える人が半数を超えている現実があります。住宅選びを検討するときには、この安全・安心についても忘れずにチェックしておきまましょう。その判断の目安になるのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた住宅性能表示です。これは、第三者の専門家が対象となる住宅を検査し、その結果が全国一律の基準で表わされています。多くの項目が3~5等級で評価されるわかりすい仕組みなので、建築知識の乏しい一般消費者でも活用しやすいというメリットがあります。まず、この性能表示制度を行っている物件を見つけ、その上で耐震性などの評価がどうなっているのかを確認するようにしましょう。
住宅生産団体連合会の調査によると、耐震等級については8割近い物件で最高等級の3を獲得しています。これなら、建築基準法で定められた基準の1.5倍以上の強度を持っているということなので、まず安心できるでしょう。劣化対策や省エネ対策などについても同様です。最高等級を取得している割合が極めて高いのです。ただ、これはあくまでも住宅生産団体連合会に加入する、大手企業の注文住宅を建設した人たちを対象にした調査結果である点を忘れないようにしてください。大手メーカーの場合、住宅性能表示制度を問題なく利用でき、取得等級も高い水準ですが、反対に中小工務店だとそもそも住宅性能表示制度を利用できないところがあります。利用できても、最高等級は難しいこともあるようです。
中古住宅ではインスペクションが徐々に広がりつつある!!
新築住宅ならこの住宅性能表示制度で確認するのが一番確実ですが、中古住宅についてはどうすればいいのでしょうか。中古住宅にも性能表示制度があるのですが、それはあくまでも既存の状態を目視でチェックするだけなので、耐震性まではなかなか確認することができません。
そのため、中古住宅には耐震性などの面に不安を感じて、結局新築住宅にしたという人が少なくありません。しかし、最近は中古住宅の売買かし保険制度が広がりつつあります。購入後に欠陥が見つかった場合に一定の条件下で補償してくれる制度ですが、そのためには専門家の検査を受ける必要があります。またそれとは別に、中古住宅を買おうとする大が、独自に専門家にインスペクション(住宅診断)を依頼するケースも増えています。建築の専門家なので、2~3万円程度費用がかかりますが、それでも住まいの安全・安心のためならそれぐらいのコストは仕方がないと考える大が増えているのではないでしょうか。2019年度からこのインスペクションの制度が、宅建業法で義務付けられることになりました。中古住宅を取得した人の半数近くが、何らかの形で建物検査を行っているようです。特に木造住宅が多い一戸建てについては、検査実施の割合が高くなっています。
安心して暮らすことのできる災害に強い家
近い将来、発生するだろうと予想されている南海トラフ地震ですが、強い地震に見舞われても安全な強い家づくりのポイントを考えておきましょう。
命と財産を守るために地震に強い家をつくる
地震調査研究推進本部(文部科学省研究開発力地震・防災研究課)によると、南海トラフ地震が発生する確率は30年以内で70%、50年以内で90%と試算されています。これまでの南海トラフ地震の歴史をみると、おおよそ100年?150年間隔でマグニチュード8クラスの南海トラフとされる地震が発生しています。大事な命と財産である家を地震被害から守るために、耐震性を考慮した家づくりを考えておきましょう。
地震に強い家の条件
硬い地盤
土地が軟弱だと地盤沈下を起こし、建物が頑丈であっても傾く場合や、最悪倒壊する可能性もあります。家そのものの耐震性を左右するものにはなりませんが、地震後の倒壊や液状化のリスクを抑えるためにも強い地盤が必要になります。また、地盤が弱い場合には補強工事もあるので、必ず地盤の調査は行うようにしましょう。
耐震設計
家の耐震性を高めるための工夫や配慮を取り入れた構造と設計にすることが必要です。耐震性能を高める設計の主なポイントは5つあります。
①建物の形
複雑な形をした建物よりも、シンプルでまとまりのある形の建物の方が地震に強く、耐震性や耐久性も高くなります。
②柱
一定の基準以上の太さを使用し、バランスよく配置し、上階の柱はなるべく下の柱の上に乗せて配置するようにします。
③基礎・土台
頑丈に作った基礎の上に、土台をアンカーボルトでしっかりと固定します。土台には耐久性に優れた木(防蟻処理を施した檜が一般的)を使用するのがいいでしょう。
④耐力壁の量・バランス
耐力壁は筋交いを入れた壁や、構造用合板などを張った場でのことです。耐力壁が多く、バランスよく配置されていれば、耐震性は高くなります。
⑤建物の重さ
建物の全体の重量を軽くすると、耐震性は高くなります。重くなる場合は、構造材や耐力壁を増やします。
プラスαの地震対策
地震の揺れを吸収するシステムや建物に揺れを伝えないシステムを採用し、地震の揺れに強い家を作る方法もあります。
【制振工法】
構造の一部に「制振装置」を組み込みます。この装置が建物に伝わった地震の揺れを吸収します。高層ビルなどに用いられることが多い工法ですが、最近では一般住宅にも採用されています。
【免震工法】
建物と基礎の間に「免震装置」を設置し、建物と地盤を切り離し、浮いたような状態にすることで、地震の揺れを建物に伝えにくくします。費用が高く定期的なメンテナンスが必要です。
東日本大震災においての対応
東日本大震災の被災地では、住まいの確保が生活再建に向けた喫緊の課題として位置付けられました。こうしたなか、様々な問題を克服しながら住宅産業界では業界を挙げて被災地での応急仮設住宅の供給を急来ました。東日本大震災では、災害救助法において災害発生日から20日以内に応急仮設住宅を着工することを求めていることもあり、震災直後からプレハブ住宅協会に宮城県、岩手県、福島県から応急仮設住宅の建設要請がありました。その後、栃木県・千葉県・長野県の各知事からも同協会に要請が入っている。その数は合わせて3万3215戸にのぼりました。
3月14日には国土交通大臣から住宅生産団体連合会に対しておおむね2ヵ月で少なくとも3万戸の応急仮設住宅を供給して欲しいという要請があったのです。要請を受けた住団連では、「住団連東北地方太平洋沖地震緊急対策本部」を設置し、3月14日から対策の協議を開始しました。このうち、「応急仮設住宅部門」では、プレハブ建築協会が中心となり。2ヵ月で3万戸の応急仮設住宅の供給していく方針を固めまいた。プレハブ建築協会では、12日に応急仮設住宅建設本部を設置しており、同日中に仙台市内、盛岡市内、郡山市内の3ヵ所に応急仮設住宅現地建設本部を設置しました。
また、住団連の構成団体である日本木造住宅産業協会、日本ツーバイフォー建築協会にも協力を仰ぎ、より早急に仮設住宅を供給する体制を構築した。両協会でも1戸当たりの面積が平均29㎡以下という災害救助法で定められた基準に従いながら応急仮設住宅を提供しています。全国中小建築工事業団体連合会(全建連)と日本住宅建設産業協会では、応急仮設住宅の施工要員の確保を段取りをしました。また、全国中小建築工事業団体連合会、全国建設労働組合総連合、日本建築士会連合会では、全国工務店・建築士震災復興協議会を創設した。この協議会では、地域材を使った応急仮設住宅を提供し、被災地での雇用拡大などを促していくことを決定しました。
建設地の選定や部資材の調達が課題に
東日本大震災では仮設住宅の供給でも大きな課題に直面した。被災地のなかには大規棋な平坦な土地がない地域もあり、同じ場所に数多くの仮設住宅を一気に建設していくことが難しいケースが表面化したのです。また、資材調達の問題も出てきました。今回の地震では部資材メーカーの生産拠点なども被害にあっており、住宅建設に関する部材供給が滞り、さらには被災地でガソリンが不足しているという事情もあり、思うように建設工事が進められないという問題が表面化しました。こうしたなか、国土交通省では「被災者向けの住宅供給の促進等に関する検討会議」を開催した。内閣府、農林水産省、林野庁、経済産業省などの各省庁の局長や審議官が集まり、応急仮設住宅の大量かつ迅速に進めるための方策について検討を開始したのです。また、資材調達の面では、林野庁が関連団体に対して仮設住宅建設のための合板の安定供給を求めました。さらには、海外の部資材活用を促す動きも発生しました。